Not quick a Nine

納得いかない!!

10 2007

利潤追求は自分勝手かい?

トヨタの富士スピードウエィF1運営がグダグダだった件は報道やネットで散々流れているので、殆どの人が知っていると思う。

それを受けて様々なブログでこの件について書かれている。
その中で、誰も通らない裏道: トヨタが自分勝手になる仕組みてなブログを読んでちょっと引っかかった。
トヨタに何かされたんだろうか? と思ってしまうほど、アンチトヨタな内容だ。

今回のF1運営がダメダメだったことはどうでも良い……というか、行った方々は本当にお気の毒ですし、トヨタが責められて当然。次回は今回の教訓をしっかりと活かして改善して欲しいですね。

で、肝心の話の中心は経営方針についてだ。
色々な事例を挙げて、トヨタには「自分たちが良ければそれでよい」という考え方だと結論づけている。がしかし、それは紆余曲折ある利潤追求の末に現在の形になっただけであって、決して自分たちが良ければそれで良いという考えの元に成り立っている訳ではないと思う。

以下、気付いた点を書いてみた。

ジャストインタイムについて

在庫を持たないジャストインタイムは公共材である道路を自社の倉庫として利用する発想である。誰も通らない裏道: トヨタが自分勝手になる仕組み

とあるが、そうだろうか?
wikipediaなどでは上記のような書き込みがされていたりするが、ジャストインタイムの目的は、社内在庫を極力無くして、キャッシュフローの改善を図るということにある。在庫を抱えれば、設計変更などが行われた際に、在庫分の部品は無駄になるが、在庫を持たない事で無駄を無くせる。組み立てラインの変更も臨機応変に出来るため、多車種展開をするのに有利になるなどメリットは多い。
デメリットとして、部品加工や調達が小分けになり、段取り替えが頻繁になったり、運搬回数が増えるなどがある。搬送が増えるということは、周辺住民へ迷惑をかけることになる。
このことについては批判されて当然とは思うが、イコール公道を倉庫代わりにしているというのは、飛躍しすぎ。
会社としてメリットとデメリットを比べた上で、メリットの方が大きければ、そちらを採用するのは当然と言える。

日曜の工場稼働について

電気代が安い日曜日に工場を動かすのは1円でも安くクルマをつくるという意味では立派なのかもしれないが、そこで働く従業員を単なる工場の歯車としか見ていない。誰も通らない裏道: トヨタが自分勝手になる仕組み

日曜日に工場を動かしただけで歯車だなんだ言われては辛い。
今時24時間工場を稼働させるなんてことはどこの企業でもやっている。
また、電気代のコスト削減は1つの側面でしかなく、夜中や日曜日に工場を動かした方が、発電所にも優しい事も重要な要素だ。夏場に発電所の稼働率を考え、昼間と夜の稼働を逆にすることは良くある話だ。
そもそも、日曜日に働きたく無いなら、そんな会社に就職しなければいい。他にも働き口があるはずだ。
お互いの合意の元で契約を交わしているはずなのに、トヨタの自分勝手とはこれいかに。
別に頭を下げてお願いして雇っている訳では無いと思うのだが……。

購買価格の競争について

そうして各産業がトヨタに部品や製品を買ってもらうために必死になって「勝手に」研究する。そうしてできあがったものを見てトヨタは「「いい製品だけど、値段を半分にしたら買ってやる」と言ったりする(かつて松下幸之助は実際にトヨタにラジオを買ってもらうにあたって「半値にせい」と言われたという)。
~~~中略~~~
つまり最後は町工場のような会社のわずかな利益を削り取ることでトヨタへの納入部品の価格を下げるわけである。誰も通らない裏道: トヨタが自分勝手になる仕組み

これもおかしな話だと思う。
ラジオの値段を半値にしたら買うというのは、その価格でないと競争力が無いからであって、その製品に倍値の価値があって、どうしてもそれを車に付けたければ、トヨタは倍値でも買っただろう。 要はそれだけ魅力のある製品を開発すれば良いだけの話。 それが自由競争というもの。

うちも町工場の自営だから、孫請けや最下層の状況は痛いほどよく分かっているが、加工賃の下落がトヨタなどの最終ユーザーの責任とは思わない。
やはり開発業者の能力不足や自社の加工技術の低さなど、諸々の競争力のなさから来るものだと思うのが普通だろう。

これはどの企業だって同じはずで、町工場だってどの工場にも作れないような良い製品を作ることでアピールするし、単価を上げようと努力する訳だ。
うちの工場などは、せっかく作った品物を半値でしか買わないと言われたら、そこの会社の注文は二度と受けないでいようとすら思う。

GMとトヨタでクルマ一台に対する開発予算が同じだとしても、トヨタは全体の部品の3割への投資であるのに対し内製率の高いGMはトヨタの3割以外のところへも資金を投入しなければならない。一方、トヨタはというと残り7割の部分に関しては各産業が勝手に莫大な研究投資をしてくれるから、結果的には一台のクルマに投じられる開発費がまったく違うということになる。誰も通らない裏道: トヨタが自分勝手になる仕組み

各企業が独自の技術を独自に研究することは、自由競争の中では当たり前の事だ。
現状の日本の第3次産業はそうした独自技術によって支えられているといっても間違いではなく、これら研究開発を否定したら、日本の産業は成り立たない。

各企業が勝手に開発する事がトヨタの自分勝手なのだろうか? トヨタが勝手に開発しているなら、トヨタの自分勝手と言われても仕方ないが……。

まとめ

上記のような事はトヨタの自分勝手で起こったことではなく、コスト削減故に起こった事だ。
コスト削減の目的として、利潤追求は当たり前だが、ユーザーへより良い物をより安い価格で提供することにもある。
逆に言えば、ユーザーが高い車でもどんどん買ってくれるなら、トヨタはそこまでコスト削減をしなくても良かったかも知れない。(ま、それでも、利潤追求はするだろうから、変わらない気もするが)

確かに色々な大企業を1つ1つ見ていくと自分勝手な部分も無い訳ではない、誰だって自分が一番可愛いのだから。

トヨタに限らず、日本の主要企業は、もっともっと日本全体の産業を考えて欲しいと思うところは沢山ある。
各企業が日本産業を大切に考えてくれれば、景気がここまで冷え込むことは無かった。
景気が回復したと言われている現在でも、孫請けなどの下層の企業は苦しい経営を余儀なくされている。
正直、どこが景気回復なんだ??と耳を疑うほどだ。 今年の夏などはここ数年で最悪の景気だったというのが、仲間内では合い言葉のようになっている。
ただ、そうした状況は上に挙げたような理由で起こったことではなく、もっともっと世界全体の流れの中で、大企業が日本の工業をどういう位置にとらえて、将来どうしたら日本が困らないかを考えて行動して来なかった事のツケが回ってきたのだと思う。

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