Not quick a Nine

納得いかない!!

日本の工業製品が世界一劣悪になる可能性

100年に1度と言われる不況の中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
先ほどはてなで「日本の家電メーカーはもうダメかもわからんねぇ」てな記事を発見。

二月以降に納品された製品の初期不良率が並じゃない。

ってことで、あぁ、やっぱりそうなるよねぇ……って気がする。

仕事の奪い合い

というのも、この不況の最中、今までに無いくらいに仕事が激減している。へたすると一日やること無いですけど?なんてのはざらで、他のアルバイトを従業員にさせていたりするところもあるくらいだ。

こうなってくると、どこも仕事の奪い合いだ。
特に従業員を抱えているところなどは、どんなに安くてもとにかく機械を動かしてしまわないとってことで、やたらと安い値段で仕事を見積り出す。製造業界はこういうところに敏感で、インフレは凄く遅いけど、デフレは驚くほど早い。下手をすると、今までの工賃の5分の1程度の値段で仕事を奪い合う状況になる。

先日などは、お得意さんから図面が入り、その場で電話をしながら、安いけどこの位でって見積りを口頭で伝え、直ぐにやりますよと電話を切ったら、もう既に元請けが他に仕事を裁いていて、結局取られたとか。
最近は見積りがなかなか通らないから、いつもの30%引きくらいで出そうか?って事で出してみたら、その値段の半分以下で持って行かれたとか。 そんなことが、数回連続で続いた。 そのどれもが急ぎでという話できたもので、以前なら逆に割高で請けられた仕事の部類だ。
うちがたまたま高かったと言う事ではなく、周りも仕事が無く、それほどまでに切迫し、値段を下げてきていると言う事だ。

じゃぁ、仕事がもらえる値段まで下げれば良いのか?というと、そんなはずはない。製品を作るには材料代はかかるし、それなりに機械を動かすわけで、経費がかかってくる。材料原価はオリンピック以降下がっているはずなのだが、材料業界はインフレが早くデフレが遅いのだ。材料原価の高いときに仕入れたロットが捌けきるまで下げられない状況があり、ジリジリとしか下がらない。自ずと材料代は高いのに、加工賃だけが下がるという相乗効果で、物は作っても殆ど儲け無しという状況に陥る。

無理なコストダウンによる日本製品の劣悪化

製品の価格を下げないとダメなのは、家電などの完成品も同じ事で、完成品の値段を下げなければ売れない。
コストを下げる方法は色々あるが、これは実は景気の良いときにもやってきたわけで、正直コストダウンによって製品の価格が下がった為に、消費が維持されてきた感があり、究極といって良いくらいにコストダウンされている。部品は可能な限り、海外製の安い部品を使い、可能な限り安いコストで組み上げる。果ては、輸送コストを安くするために、製品を含め、箱の小型化まで計算して切り詰める。

ただ、もうこれ以上下げようが無いところまで来ている気がするのだ。
今でさえ、いくら売れたって儲からないでしょ?ってところまで下がっているのに、これ以上下げる方法といったら、粗悪品を使う以外方法が無くなる。

大手企業だって表だって粗悪品ですよなんてものは出せない。ISO9000などでしっかりと検査表まで付いて全ての品物は納められ、検査にキチンと通っているはず。しかし、究極に切り詰められたコストの中で、あちこちでコストダウンが始まる。先のエントリにもあったように、センサーがキチンと動いていないなんてのは典型だ。ちょっとした検査ではNGが出なくても、あらゆるところの精度が下がり、全体的に製品が悪くなる。 当然故障も多くなるだろう。

中国製品の方が良い??

中国製品の方が安いって事は知られているが、そろそろ精度も中国の方が良くなってきている傾向がある。
それもそのはずで、日本の大企業が揃って中国へ工場をつくり、そこで日本製の高性能な機械をバンバン動かしている。工業製品を加工するノウハウから何から全て中国へ輸出していれば、いつかは抜かされる時が来るだろうと思っていたが、この大不況でとうとう先を越される時が来たのかな?という印象だ。
何せ中国は賃金が日本よりも低いから、同じ物を作ったとしても、その製品にかけられる時間が違う。丁寧に丁寧に作っても時間や苦労に見合う対価が得られるが、日本で同じ事をしていたら全く合わない、仕事にならないのだ。 自ずと日本製品の方が、高くなる。 コストダウンしようと行程を端折れば、製品は悪くなる。
圧倒的不利な条件の下で、世界を相手にしていくのは、かなり設備の整った企業だけになってしまう可能性がある。
これではやってらんね~、や~めたという会社が後を絶たないのは当然じゃないだろうか。

こういう状況にしてしまったのは、製造業界が自ら海外の低賃金という、美味しいエサに安易に飛びついて、無理な利益を貪った結果ではないか?
大切な加工ノウハウを海外に安易に持ち出し、海外で劇的に安い製品を作らせ、結果その国の製品に日本がやられてどうするんだ?と思う。

考えてみてください、100円ショップで売っている物を見て、どうしてこれが100円?!と思う人が大勢いるってことは、何かがおかしい証拠だ。確かに100円で買えたら凄く嬉しいし、得した気分になるけど、それを1つ作るのに、日本なら普通は小売りで400~500円はするよな?ってね。
それ1つ買う事に、日本の会社が1軒1軒潰れている気がするんだよな。
別に100円ショップだけが悪いって言うんじゃない、私だって使ってるしね。でもこれって異常だって思う。

先日うちも晴れて液晶TVを買ったわけだが、その安さに驚くと共に、日本の未来が霞んで見えた気がする。

大手企業や政府はもうちょっと日本の製造業について、真剣に考えないと、もう断崖絶壁で後がないよ。
お手洗さんに好き勝手やらせてて良いのか? ひどいもんだよC○nonの下請けの現状はさぁ。
“世界の工場”中国なんて、ちっとも怖くない?」を読んでも、大手は日本の製造業、特に汎用部品の製造の事については殆ど考えていないのが分かる。最終的に最大利益を上げられ、さらに自分が損をしないフィールドで戦う事に注力しているわけだ。こういう事をしてきた結果が今の日本の製造業弱体化の諸悪の根源なのだが、それをせざるを得ない価格競争があったのは確かだ。
だが、大手企業には、もうすこし広い視野で業界のために出来る事をして欲しい気がする。
労働から、物価の水準に合った対価を得られなければ、業界は衰退する一方のはずだ。

製造業界衰退のその先

私の住んでいる大田区は日本の製造業を支えてきたような事が、TVなどでは放映されているが、本当に数が減った。これはその場に住んでいる私が、肌で感じる危機的状況だ。
工業製品は色々な行程を経て、1つの製品になるわけで、1社で全て作れる物じゃない。色々な加工業者が手を取り合っていたものが、今では手を取る先がどんどん減ってきている。どんどん減ってきている中で、さらに絶望的な価格競争をしていたら、この先には日本の製造業界の衰退しきった姿しか見えてこない。

減反政策で日本の農業が終わり、技術&工場の輸出で製造業が終わる。。。
これで良いのか?日本は?

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